誰もが矯正を学べる場所に──“未来の歯科体験”を形にするまで

「もっと新しいことに挑戦したい」
 
そう語るのは、OralXで理事長を務める本多さん。
 
一般歯科で患者さんと向き合う日々。やりがいは確かにあった。
 
けれど、その充実感の裏側には、どこか拭えない感情が残っていた。
 
──このままで、本当にいいのだろうか。
 
約60年前からほとんど形を変えてこなかった歯科業界。
その進化に挑んだひとりの歯科医師の物語にせまります。
 
一般社団法人OralX:若者から支持されるマウスピースブランド「Oh my teeth」を専門に取り扱う矯正歯科医院。東京・大阪・名古屋・福岡で複数ストア(医院)を展開中。「未来の歯科体験を生み出す」をミッションに掲げ、直近ストア来店者数(来患数)は5万人を突破しました。従来のマウスピース矯正の難点である「値段が高い」「通院が面倒」「つづけられない」を解決する「Oh my teeth」ブランドを専門で提供しています。
 

“違和感”を力に変えて──OralX誕生の原点

──Oralxを立ち上げるまでの経緯を教えてください。
本多 : 大学を卒業してまずは一般歯科を経験。
治療の技術は少しずつ身についていたけれど、日々の仕事の中で感じていたのは、質問するタイミングの難しさ。先輩歯科医師に質問したいが、各々やるべきことがある。だからこそ、少し遠慮気味に質問している自分がいた。
 
自分でどうにかしなければいけない。そんな責任感と戦う日々。
 
「もっと良い方法があったのではないか」
 
1日の終わりにそう感じる瞬間は、一度や二度ではなかった。
 
さらに、もともと“同じことの繰り返し”が苦手な性格。
 
必要な治療だとわかっていても、どこか繰り返される環境に、気持ちが次第に離れていった。
 
30歳という節目に未経験で矯正歯科に飛び込んだ。
 
軽度、中度、重度、様々な患者が入り混じる。難易度は対応してみないとわからない。
 
それでも先輩歯科医師にサポートしてもらいながら、手探りで学ぶ日々。苦労して矯正スキルを身につけていった。
 
充実感を感じる一方で抱いた疑問。
 
「これが当たり前でいいのだろうか」
 
その感情は、やがて新しい挑戦を求める強い衝動へと変わっていった。
 
そんなときに出会ったのが、Oh my teethの西野さんだった。
 
「未来の歯科体験をつくりたい。一緒に挑戦してほしい」
 
その言葉に、ずっと抱えてきた疑問が整理されていった。
 
歯科業界において、各メーカーが作る器具やシステムは日々進化。しかし、見て学ぶ慣習や治療に追われる現場体制はまるで時間が止まったかのように固定されたまま。
 
それは、歯科医師が悪いわけではない。院長は、経営、マネージメント、集客、経理、治療全てを一人でこなさなければいけない。瞬く間に1日が終わっていく。患者さん一人一人に時間をかけたい、新人ドクターに時間をかけたいと思いつつも、様々な事情で時間が奪われ、疲弊していく。
 
そんな悪循環を断ち切り、歯科業界を変えたい。そう思った。
 
そのために必要なのが、矯正治療スキル。虫歯の割合が減り、インプラントニーズにも翳りが見える昨今。これからは矯正ニーズが増していく。
 
矯正治療を受けた患者さんは自身の歯に興味を持つ様になり、定期健診など集客面にもつながる。そして経営的な好循環を作り出す。集客や経営が安定すれば、歯科医師が本来時間を割きたかったこと、患者さん対応や新人ドクターへの指導などにもっと時間を割ける。だからこそ、これからの時代、矯正は必須スキルと言っても過言ではない。
 
しかし、矯正治療は経験できる機会が少ない。機会があったとしても中軽度の症例から段階的に学べる環境はほとんどない。
 
なぜなら、中軽度の症状で矯正をやりたいという人が少ないから。
 
従来の矯正は、症状の重さに関わらず、100万円近い治療費を払わなければいけない。高価な物とされてきた。「100万かかるなら・・」そう言って、中軽度の人は矯正をやりたいと思っていても値段を理由に静かに断念してしまう。
 
それは歯に興味を持つ患者さんを減らすということに加え、歯科医師が軽症例から矯正を学ぶという機会の損失にもなる。
 
「このままでは、歯科業界に変化は生まれない」
 
その思いが、次の一歩を踏み出す覚悟へと変わった。
 
ここまで順調に歩んできた矯正専門医の道、これからも安定しているであろう道。
 
そんな選択肢を前にしても、迷う理由はなかった。
 
心はすでに、新たな一歩を踏み出す決意をしていた。
 
30歳で飛び込んだ矯正分野。それが、OralXにつながっていった。
 
 
──本多さんからみたOralXの魅力とは?
本多:
学びやすさですね。
 
矯正は、患者さん一人ひとりに合わせてゼロからプランを立てる。
 
歯科医師の考え方や手の動きによって仕上がりも変わる。
 
同じ治療は二度とない。まるで、一つの作品をつくっているような感覚です。
 
そして何より、矯正はその人のコンプレックスや人生に深く関わる。
 
治療が終わったときに「笑えるようになった」「人生が変わった」と感謝される──この上ないやりがいを感じる分野の一つです。
 
にも関わらず、矯正治療は先ほど申し上げたように、学ぶ機会が限られている。大学でも体系的に教わることは少なく、臨床に出ても指導を受けられることはほとんどない。
 
責任は重いのに、学べる環境がない。
 
そんな現実に直面し、失敗に苦しむ歯科医師を何人も見てきた。
 
しかし、OralXが扱う「Oh my teeth」は、部分矯正特化型のマウスピース。軽中度の症例が中心だからこそ、取り組みやすい。
 
多くの歯科医師にとって学びやすく、挑戦しやすい分野。だからこそ、矯正キャリアのエントリーには最適です。
 
加えて大切にしているのがフラットな人間関係。
 
スタッフ同士で意見や質問しにくい空気感は、成長のスピードを緩めてしまう。
 
その経験から「OralXは誰でも意見や質問をできる環境にしたい」と強く思っています。
 
OralXは誰の意見だとしても「患者さんにとってプラスになる」のであれば、すぐ取り入れます。
 
また、Slackなどを活用して、オンラインでもオフラインでも気軽に質問ができるように工夫。私にも多くの質問が日々届きます。
 
新しく入ったメンバーでも、すぐに質問や提案ができる。そんな空気がある。
 
さらに、歯科医師も歯科衛生士も、同じ目線で話すことを大切にするため、呼び方を「先生」ではなく、「◯◯さん」に統一。
 
どうしても狭くなりがちな歯科の世界ですが、新しいITツールや分野を取り入れられるのは異分野の専門家と関わることができるから。
 
マーケティングやラボ、エンジニアチームなど、多様なバックグラウンドを持つ仲間が実際に集まっています。
 
これらがあるからこそ、OralXでは矯正キャリアを安心してスタートできる。
 
私はそう確信しています。
 
 
 
“違和感”を力に変えて──OralX誕生の原点
──OralXはこれから、どんな世界を描いていきますか?
本多:
私たちの最大のミッションは、
 
「“未来の歯科体験”を生み出す」こと
 
歯科の世界は安定している一方で、新しい挑戦がしづらいという固定観念に縛られがちです。
 
そのせいで、同じ業務を繰り返すうちにモチベーションを失ってしまう先生も少なくない。
 
だからこそ、OralXは「挑戦のしやすい場所」でありたい。
 
矯正を誰もが当たり前に選べる治療に。
 
挑戦を止めず、成長を続け、未来をつくり続ける。
 
OralXの挑戦は、まだ始まったばかりです。

編集後記

安定したキャリアを手放し、30歳から新たな挑戦に踏み出すのは、決して簡単なことではないはず。
 
それでも「失敗してもいい。一歩踏み出してみよう」と語る本多さんの姿勢からは、挑戦を恐れない強さと、未来を信じるやさしさが伝わってきました。
 
OralXの取り組みは、単なる“矯正”の枠を超えている。
 
矯正をもっと身近に、もっとポジティブな体験へと変えていく──その流れをつくろうとしているのです。
 
まだ道半ば。けれど、だからこそワクワクする。
 
“未来の歯科体験”を掲げるOralXの挑戦が、これからどんな景色を見せてくれるのか。
 
あなたも、この物語の続きを一緒に追いかけてみませんか?