"歯科医師"という肩書きに、「自分らしさ」を取り戻すまで。
「歯医者になるつもりなんて、なかった。」
そう語るのは、一般社団法人OralX*(以下:OralX)の池袋ストアで院長を務める佐藤さん。
歯科医師という道を一度は手放しかけた彼が、再びこの仕事と向き合おうと思えた理由。
それは、「自分らしくいられる場所」と出会えたから。
「このままでいいのか」と迷っているなら佐藤さんの物語が、きっと何かのヒントになるはずです。
※一般社団法人OralX:若者から支持されるマウスピースブランド「Oh my teeth」を専門に取り扱う矯正歯科医院。東京・大阪・名古屋・福岡で複数ストア(医院)を展開中。「未来の歯科体験を生み出す」をミッションに掲げ、直近ストア来店者数(来患数)は5万人を突破しました。従来のマウスピース矯正の難点である「値段が高い」「通院が面倒」「つづけられない」を解決する「Oh my teeth」ブランドを専門で提供しています。
苦しさの先で出会った、“自分らしさ”という答え
──現在の業務内容を教えてください。
佐藤:今(2025年7月時点)は池袋ストアの院長として、ユーザーさんの矯正プランの診断やマウスピース矯正において必要な口腔内処置を行なっています。
矯正治療を始める方は、勇気を持って歯の悩みを打ち明けに来てくれている。
だからこそ、「自分がユーザーだったらどう思うか?」と常にユーザー目線を意識し、細部のことまで注意を払う様にしています。
──そもそも 歯科医師を目指したきっかけはなんですか?
佐藤:正直言うと、最初から歯医者になりたかったわけではありません。
叔母が歯科医師だったこともあり、家族から勧められて。
自分自身も手先が器用なのと、誰かの役に立ちたい気持ちはあったので、「とりあえず資格をとろう」と軽い気持ちでスタート。
そんなとき、研修である出会いがありました。
それは──カフェと併設された、ちょっと変わった歯科医院。
低糖質のメニューが並ぶカフェでは、「歯と体、両方の健康を守る」。
歯を「治す」だけじゃなく、人の暮らしや気持ちに寄り添うような歯科医療がそこにはありました。
「歯科医師って、こんなにも自由でいいんだ」──そう思えたのは、そのときが初めてで。
それ以来、「こうあるべき」に縛られなくてもいいんだ、と少しずつ思えるようになって。
自分なりのスタイルを模索することの大切さを、そこで学びました。
しかし、現実はそんなに軽くはなかった。
卒業後一般歯科で勤務したのですが、想像以上の激務。
技術の習得に面白みは感じるものの、どこか崩れていくバランス。
診療の後はもちろん、休日に自己研鑽での勉強会参加もほぼ必須。サービス残業も頻繁。
歯医者以外の自分を大切にする時間はない。
「歯医者が私の人生の全てになっていく」
少しずつ苦しくなる日々。強くなる歯医者以外への好奇心。
気づけば「もっと色々なことをやりたい」と、歯医者としての私を手放していました。
そのとき、出会ったのがカメラマンという仕事。
もともと音楽も映像も好きで、「ミュージックビデオの撮影をやってみたい」と、挑戦。
やっと見つけた歯医者以外の自分でしたね。
自分らしく働ける場所との出会い
──歯科医師にはなぜ復帰されたのでしょうか?
佐藤:1番は年齢と金銭面ですね。ある程度やりたいことをやった中で今後の人生設計を考えると歯科医師の資格を活かして働くのはありだなと思い、復帰先を探していました。
──復帰先はどんな分野を見ていたのですか?
佐藤:最初は、幅広く見ていました。
求人を眺めながら、頭の中では同じセリフが流れる。
「虫歯になる前に、歯医者に行く。予防をするために診療をする。そんな当たり前の未来をつくりたい」
「“ただ治す”だけじゃない。」
ある歯科医師が熱く語っていたのが脳裏から離れない。
そこから、虫歯にならない人生を一緒につくるという予防歯科の考え方に惹かれていきます。
予防歯科について学びを深めるほど、実感したのが歯並びの重要性。
歯と歯が重なる部分は当然、歯磨きがしづらい。虫歯になる確率もあがる。自分の歯がなくなれば健康そのものを害する。
歯並びは、歯の寿命に直結し、健康を守る手段にもなる。
そう気づいた時、自然と興味は矯正歯科へ。
「歯医者は、人の人生を変えられる」──歯科医師の“本当の価値”を知った瞬間でした。
──OralXを選んだのはなぜでしょうか。
佐藤:「未来の歯科体験を生み出す」、その言葉を初めて目にしたとき、ハッとして。
売上至上主義ではなく、ユーザーの体験を大切にする。通院も1回でいい。
「歯医者はもっと自由でいい」
蘇る昔の記憶。
働く側としても、「歯科医師とそうでない自分は両立できない」そんな思い込みを持っていたことに気づきました。
残業の少ない環境、オンライン診療、柔軟なシフト体制。OralXなら、歯科医師とそうでない自分が両立できるイメージが広がる。
その瞬間、「あ、ここなら何か変われるかもしれない」、「ありのままの自分でいていいんだ」そう言ってくれている気がして、入社を決意しました。

──OralXに入社してから、特に印象的だったことはありますか?
佐藤:最初に感じたのは、「あ、面白そうだな」という感覚。その感覚は業務を知れば知るほど強くなっていきます。診療は歯科医師、歯科衛生士それぞれ役割ごとに分担され、自分の領域に集中できる体制。
「オンラインドクター(リモート診療)」の仕組みもあり、歯科医師として新しい働き方も用意されている。
誰かと“一緒につくる歯科体験”という働き方に、驚きを感じました。
さらに、隣にいるのは歯科医師だけじゃない。
エンジニアやビジネスサイドの人たちも、同じ目線で“新しい歯科”を描こうとしている。
今までの上下とは違う、横のつながり。
「歯医者はもっと自由に、もっと面白くなるんだ」、自然に思えるようになりました。
歯医者として、ではなく、“人として”できることを
── 治療をする上で、大切にしていることはありますか?
佐藤:矯正診療って、ただ歯を動かすだけじゃないんです。見た目の変化の裏には、不安や痛み、戸惑いも一緒についてくる。
だから私は、どんなときも“最後の砦”でありたい。
困ったときに顔を思い浮かべてもらえる存在でいたい。
「やってよかった」
そんな気持ちで終われるように。
矯正が“やさしい記憶”になるように、心を込めて寄り添っています。
── どんな人がOralXに向いていると思いますか?
佐藤:いい意味で、“型破り”な人、ですかね。もちろん、基本的な診療技術は大切。
でも、それだけじゃきっと足りないと思っていて。
「自分の常識って、もしかして違うかも?」と一度立ち止まって考えられるような人、「こんなやり方もあるんだ」と驚きながら楽しめる人。
そういう、遊び心を持った人のほうが、OralXでは自然と馴染んでいく気がします。
──逆に、ちょっと合わないかもしれないのは、どんな人だと思いますか?
佐藤:OralXでは、“正解”が一つじゃありません。
だから、「こうでなきゃいけない」と信じて疑わない人や、これまでの型を変えたくない人にとっては、少し戸惑う場面もあるかもしれません。
そういう方ほど、「そんなやり方でいいの?」と最初は驚くかもしれないですね。
── 最後に、今の仕事をどう感じていますか?
佐藤:「このまま歯医者として生きていくなんて、想像できない」──かつての私はそう思っていました。
でも今は、歯科医師という肩書きのまま、ちゃんと笑っている。
あの頃の自分に教えてあげたい。
今の私は、迷いながらも、自分の手で“正解”を選んでいると。
編集後記
佐藤さんの話を通じて感じたのは、肩書きや職業が“自分らしさ”を縛るものであってはいけないということ。
「一度手放したからこそ、見えてくるものがある」──そんな言葉がぴったりなインタビューでした。
型にハマることが苦手な人。
決められた道に違和感を感じている人。
新しい働き方に、ほんの少しでも心が揺れたのなら、その直感を信じて、OralXという未来に、一歩踏み出してみませんか?
歯科医師としてのあなたにも、人としてのあなたにも。
きっと、まだ出会えていない“自分”に出会えるはずです。