“変われない業界”に希望を見出した日。1人の歯科医師の転機。
「歯科医師として本当に人を幸せにしているのだろうか。」
「何のために働いているのだろうか？」
日々ユーザーのために歯科医師として働く日々、やりがいを感じつつもこのままでいいのだろうか？と疑問を感じる日々。
一般社団法人OralX（以下：OralX）で歯科医師として活躍する吉良さんもそんな疑問をきっかけにメンバーになった1人です。
今回は、吉良さんの入社までの経緯や当時の葛藤についてお聞きしました。
※一般社団法人OralX：若者から支持されるマウスピースブランド「Oh my teeth」を専門に取り扱う矯正歯科医院。東京・大阪・名古屋・福岡で複数ストア（医院）を展開中。「未来の歯科体験を生み出す」をミッションに掲げ、直近ストア来店者数（来患数）は2万人を突破しました。従来のマウスピース矯正の難点である「値段が高い」「通院が面倒」「続けられない」を解決する「Oh my teeth」ブランドを専門で提供しています。
悟った歯科医師としての限界。
── OralX所属前はどのような歯科医院にお勤めでしたか。
吉良：みなさんが想像する歯科医院、いわゆる“街の歯医者さん”としてのキャリアを歩んでいましたね。
最初からモヤモヤを抱えていた訳ではなかったんです。歯科医師として仕事を始めた当初は治療を通じて、目の前の患者さまの笑顔に向き合えるという仕事こそ私にとって天職だと感じていたんです。
しかし徐々に、歯科医師としての限界、歯科業界の慣習に疑問を感じることが増えていきました。
── やりがいを感じつつも疑問を感じられたんですね。
吉良：そうなんです。街の歯医者さんは、小さなお子さんからご高齢の方まで老若男女を問わず歯の困りごとに対応しています。一人一人の困りごとに向き合い、その場で治療をしていく。
その場での対応がメインになるからこそ、受け入れ可能なユーザー数は、チェアの数や歯科医師の対応能力によって決まります。
悩みを解決してあげられる数が当然限定的になります。ユーザーも顔見知りの方ばかり。より多くの人に歯科医としての価値を提供するには、どうすればいいのか。これが、大きな悩みの種になったんです。
そんなとき、知ったのが日本初のマウスピースブランドOh my teeth、それを取り扱っているOralXでした。日本初の通わない歯科矯正というコンセプトを見た時に、通わなければいけないという固定観念が間違っているかもしれない。そう考えたことで、興味を持つようになりました。
── 歯科業界の慣習面ではどんなことを疑問に感じられましたか。
吉良：歯科業界にはまだまだアナログな文化が残っています。
電子カルテの導入が進んでいるとはいえ、まだまだ紙ベースを使用するところも多くあります。診療の予約が電話のみや空き状況が開示されていない。効率化が意識されておらず、いざ予約しても当日待たされてしまうのが当たり前だったりと、ポイントは多々ありました。
また、年功序列の文化が強く、人間関係に悩んでしまうケースも少なからず存在します。基本的に一族経営の歯科医院が多いため、声をあげても改善されない。その繰り返しで、「声を上げたとしても変えられない」という諦めすらありました。
私自身も、「いち歯科医師である私にできることはない、変えられない」と業界の明るい未来を諦めていた一人です。
歯科業界を変えられるかもしれない。
── OralXの第一印象はどうでしたか？
吉良：歯科業界に諦めもあったので、ビジネスサイドにも関心を持つようになりました。そんな時に、経済系のYouTube番組でOh my teeth代表の西野さんの発信を見つけたんです。先ほども少し話しましたが、ミッションに「未来の歯科体験を生み出す」と掲げており、その言葉が心に残りました。そしてそれを取り扱うOralXに惹かれていきました。
ワイヤー矯正に比べて安価で、それでいて満足のいく治療ができるプロダクト。予約も診察もスマートフォンだけで完了する、ストレスフリーな歯科体験。従来の歯科業界にはいない職種の人たちが作り上げる思考やカルチャー。
本当に「未来の歯科体験」を生み出せるのであれば、変化することをやめたクリニックは遅かれ早かれ淘汰されると直感しました。それであれば、私は、変化を生み出す側のOralXにいたい。そう考え、入社を決めました。
本音を言うと、最初、矯正に特化したキャリアに進むことに対して不安はありました。
しかしそれ以上に、従来の発想にとらわれないアプローチで患者さまの悩みを解決して、歯科業界のより良い未来をつくれるという期待の方が大きかったのであまり気になりませんでしたね。
いざとなれば一般歯科はいつでも働ける自信もあったので、むしろ、症例数も非常に多く、診断経験も多く積めるOralXの環境は私にとってプラスαの武器を作れるチャンスだと感じました。
── 実際に働いてみて、イメージとの間にギャップはありませんでしたか？
吉良：あまりありませんでしたね。
掲げている「未来の歯科体験を生み出す」というミッションに対して本当に真正面から向き合っているという印象は、働く前も後も変わりません。
通院頻度も基本は初回の1回のみだったので、通わないというコンセプトをしっかりと体現されていて改めて驚きました。
ストアの雰囲気も従来とは異なり、通いやすい雰囲気で、歯に対する悩みやコンプレックスを気軽に解消できると感じました。
また、働くメンバーとしても、新しい経験をすることができています。法人内の連絡ツールは「Slack」を使用しているなど、テクノロジーが至るところに利用されていますし、関わる人たちもガラッと変わりました。いわゆる歯科業界の職種だけでなく、マーケターやエンジニアなど、これまで会話することがなかった方たちとの交流も多くあります。
── これまでに勤められたクリニックと比べるとどうですか。
吉良：これまで三つのクリニックで働いてきましたが、歯科業界において「自由に意見が言える」環境は稀有です。繰り返しになりますが、年功序列の傾向が強く、私が知る限りでは院長先生を頂点とするトップダウンの組織であることが一般的です。
しかし、OralXはむしろ、意見を求められます。従来の歯科業界や歯科体験に疑問を持っていたメンバーが集まっているので、どうすれば改善していけるのか、どうすれば患者さまにより価値を届けられるのか、自分の考えを発信することができます。
歯科医師や歯科衛生士の方はもちろん、技工士の方や、ビジネス部門の方と理想を語り合う時間は非常に有意義で、自分の仕事が歯科業界の新しい未来をつくっていることを日々感じられています。
── 働き方やカルチャーが変化したことで、苦労したことはありませんでしたか？
吉良：もちろんあります。赤裸々に話すと、まだまだ若いクリニックということもあり、日々の仕事は忙しいです。
これまでであれば、対面している患者さまの治療をすることだけが役割でしたが、現在は対面での治療に加え、ご自宅で治療を継続されている患者さまのケアも任されています。
オンラインで質問をいただくことがあるのですが、担当医である私以外が対応できないケースもあるので、通常業務にプラスしてオンラインでの対応があるということです。
それでも毎日に強いやりがいを感じられているのは、これまでに感じた疑問を抱えることなく、自分の仕事が歯科業界のより良い未来につながっていると信じられているからだと思います。
OralXのメンバーとして
── 一般歯科から矯正医に転向して苦労した点はありますか。
吉良：矯正医になるには、大学病院で認定医として認められるか、歯科矯正を実施しているクリニックで技術を学ぶ二つのパターンがあります。
私は現場で技術を学びたかったので、OralXの一員となり、矯正医の方から直接技術を学ぶパターンを選びました。
取り扱うのは主にマウスピースですが、ワイヤー矯正とマウスピース矯正の双方に精通した方が在籍しているので、多くの歯科医師から技術を学ぶ事が出来ます。これは複数ストア展開しているOralXならではですね。
診断も基本的にはダブルチェック体制なので未経験でも安心して診断ができます。定期的に症例検討会も法人全体で開催されるため落ち着いて考えるのでスキル習得に関しては心配いらないですね。
── 歯科医師以外の方はどんな方がいらっしゃるのでしょうか。
吉良：私と同じように、従来の歯科業界に疑問を持っているメンバーが多いです。
「もっと良くできるよね」「患者さまにもっと価値を提供したいよね」という気持ちがあるので、結束しながら働けていると感じます。
また、メンバー思いの人がとても多いです。非常勤のメンバーも在籍しているのですが、私のように常勤の医師や歯科衛生士を気遣ってくれ、チームとして心強いサポートをしてくれていますね。
── 今後のキャリアプランなどあれば教えてください。
吉良：歯科医師としては、OralXを選んでいただいたユーザーさまに、理想の歯並びを届けるための技術に磨きをかけたいです。
OralXのメンバーとしては、過去にはなかったストレスフリーな歯科体験を武器に、業界の当たり前を変えていきます。目の前のユーザーに向き合うことはこれまでと変わりませんが、OralXなら、それ以外のより多くのユーザーの笑顔をつくっていくことができます。
オンラインでのユーザーフォローはもちろん、プロダクト開発、歯科体験の改善……1人の街の歯医者さんを超えたあらゆる課題に挑戦する機会があるからです。
歯科医師としての役割はもちろん、今後はそれ以外の役割も背負いながら、未来の歯科体験を生み出していきたいです。
── OralXで働くことを検討されている方に、メッセージをお願いします。
吉良：一緒に働くスタッフのみなさんには、これまでに私が過去の職場で感じてきた理不尽や疑問を感じさせない環境をご用意いたします。
OralXは、Oh my teethを含めた提供するサービスに絶対の自信を持っています。なのでオペレーションもシンプルです。然るべきことをしていけば、ユーザーに喜んでいただける環境です。
「楽しく一生懸命に働いているだけで、ユーザーに喜んでもらえ、さらには歯科業界の未来をつくっていける」というのが、私たちの職場の自慢です。
── 最後に、吉良さんの「理想のストア」について、教えてください。
吉良：私が理想とするのは、「悩みを悩みのまま放置させない」ストアです。
歯は一生ものの付き合いになる、いわば人生のパートナーです。だからこそ多くの人が悩みを抱えています。悩みを解決するためには、高いお金がかかったり、時間がかかったりと、大変なことが少なくありません。
それでも、私たちOralXは、悩みを悩みのまま放置させたくないと思っています。
矯正一つをとっても私たちでは解決が難しい場合があります。その場合は躊躇せずに提携クリニックを紹介し、ユーザーにいい体験を届けることを優先しています。
次世代の歯科体験を生み出し、届ける。それが私たちの使命だと思っています。
編集後記
「まっすぐ笑顔を届けたい」という姿がとても印象的でした。
今まで苦労させた分、強い決心があるんだろうなと話の中でも随所に感じることができました。
歯医者の数が増えているからこそ、自分はどうしたいのか。それがよりこれからは求められてくるのでないでしょうか。